さしあたって、我々はとりあえず自分たちが立っている地点に旗を立ててみることにした。何色の旗がいいかを話し合ったが、すぐに白がいいだろうということに落ち着いた。実際、かつてどんな音が鳴っていたのか、それは誰にどんなふうに聴き取られたのか、何とか想像しようとしてみているのは我々以外にそんなにいないようであるし(多少傲慢だが、我々に見えないのであれば、存在しないと判断してもある程度仕方がないと結論した)、なぜ未だにそんなことをしようとしているのか、自分たちでもよくわかっていない我々のシンボルカラーとして、それはなんとなく適当であるように思われたからだ。旗を掲げて、我々は我々なりに考えたことや、自分たちの問題意識に関連すると思われる文章を、雑多に記録し始めることにした。その結果生まれたのがこの雑誌である。
小林青空『アントニオ・カルロス・序文』(『白旗』第2号より)
『白旗』は「日本で唯一の、ポップス専門誌。」を標榜する音楽系機関紙です。2022年12月に創刊号を発刊。以後、雑誌媒体やイベント「ポップス清聴の会:ポップス・ワクワク・ワークショップ」を通じて、音楽を様々な視点で面白がりながら、音に関する諸技術(聴く技術・語る技術・書く技術)の普及活動を行っています。
[……]だが私たちは、もっと面白い文章(私たちにとって/あなたにとって)が増えてほしいと思うし、もっと異文化交流が行われてほしいと思うし、もっと音楽が面白く聴かれてほしいと思っている。それが可能だとも思っている。
古い土地『大和田俊之『アメリカ音楽史』【音楽本から学ぶ聴く技術・書く技術】』
具体的な活動としては、「日本で唯一のポップス専門誌」を標榜する怪しげな雑誌『白旗』において、お手本となるべき多種多様な音楽批評を掲載していく。音楽ライター、ミュージシャン、研究者、アマチュアが、それぞれのアプローチ(あるいは普段はしないアプローチ)で筆を執る場を用意しよう。
[……]私たちの主張を突き詰めれば、「音楽に関する語りは難しいと世間に思われているけれど、必ずしもそうではない。テクニックを少し学べば面白い文章は書けるはずだから、とにかく書いてくれ」ということになる。
『白旗』編集部(ときにクリエイティブ顧問ズと呼ばれます)の運営するWebサイトが「コモン・ミュージック」です。『白旗』関連情報やイベント情報のほか、音楽に関するくだらない記事、シリアスな記事、音楽批評を書くにあたって「実用的」な記事などを、順次掲載しています。